毎年1月2日と3日に行われる箱根駅伝。
すっかり正月の風物詩として定着した感がありますが、選手たちが必死になってタスキを繋ぐ姿には毎回心を打たれますね!
そんな箱根駅伝には毎年20校の大学と、もう1チームが参加して行われます。
このもう1チームとは何なのか、皆さんはご存じでしょうか?
その名は関東学生連合チーム。
「チーム」という名前だけに、単独の大学での出場ではありません。
今回はこの関東学生連合チームとは何なのか?について詳しく解説していきたいと思います!
箱根駅伝の関東学生連合の選び方とは?
関東学生連合とは、10月に行われる箱根駅伝予選会で、残念ながら本大会出場を逃した大学の選手の中から選考されたメンバー16名で構成されたチームのことを言います。
2003年の第79回大会から(当初は「関東学連選抜」という名称でした)、箱根駅伝本大会に参加するようになりました。
メンバーの選び方は、予選会で落選した各大学内での個人順位1位の選手を中心に選ばれますが、次の条件を満たしている必要があります。
- 1校から1人
- 留学生は対象外
- 予選会に出場していない大学の選手は対象外
- 大学、連合チーム問わず箱根駅伝本大会出走経験がないこと
具体例を挙げてみると、下記は第99回箱根駅伝予選会の中央学院大学の予選会チーム内3位までの選手です。
チーム内1位は吉田選手ですが、吉田選手は箱根駅伝を走った経験があるため今回は選考対象外となり、チーム内2位の川田選手が関東学生連合チームのメンバーに選ばれたというわけですね。
個人順位 | タイム | 選手名 | 備考 |
68位 | 1:04:17 | 吉田 礼志 | 箱根駅伝出走経験あり |
74位 | 1:04:26 | 川田 啓仁 | |
95位 | 1:04:41 | 安藤 武留 |
なお、主催者の関東学生陸上競技連盟のサイトによると、
関東学生連合チームの競技者の選考方法について、本予選会を通過できなかった出場校の記録上位者を中心に選考するが、第 101 回関東学生陸上競技対校選手権大会の 5000m、10000m、ハーフマラソンの成績も多少考慮に入れる。
「第99回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会要項」より引用
との記載があり、「必ずこの基準で選ばれる」という明確な選考方法はないようです。
また、上記条件は変更になったことがあり、以前は「本大会の出走経験が2回を超えないこと」という条件が課されていた時もありました。
学生連合のルールはよく変わるので、毎年要チェックですね!
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箱根駅伝の関東学生連合の監督は誰がやるの?
関東学生連合の監督は、予選会で落選した大学の上位チームの監督が就任します。
また、コーチングスタッフも同様に落選した上位チームの監督やスタッフの方が就任します。
通常、予選会落ちをした最上位校の監督が関東学生連合の監督を務め、2位と3位の監督がコーチを務めるのが慣例となっているのですが、第99回大会を例に見てみると、予選会総合順位11位の神奈川大学からではなく、12位の中央学院大学から川崎勇二監督が就任しています。
このことから、監督の選出方法についても選手同様に明確な基準はないものと思われます。
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関東学生連合を原晋監督が担当した時
関東学生連合チームは、予選会後約2ヵ月という超短期間で、十分なチーム練習を積めないまま本番に挑まなければならない厳しい状況下置かれています。
そのため、本戦ではどうしても下位になりがちですが、実は関東学連選抜時代も含めると、最高順位で4位を取ったことがあるんです。
オープン参加ではなかった2008年の第84回大会のことなのですが、この時に監督を務めたのが今や箱根駅伝の強豪となっている青山学院大学の原晋監督です。
当時青山学院大学は箱根駅伝出場に向けて強化を進めていた時代でした。
第84回大会の予選会では惜しくも落選となりましたが、そこで関東学連選抜の監督を初めて率いた原監督は、当時のメンバーに話を聞いたところ、並々ならぬ熱意をもって箱根駅伝に臨んだとのことでした。
それまで学連選抜チームは、前述の通り、年末に集まって顔合わせ程度で終わることがほとんどだった中、原監督はチームの目標をどこに置くのか、そこから選手たちに議論させました。
その中で選手たちは3位を目指すことを目標に決めて、士気を高めたそうです。
せっかく箱根駅伝を走るなら、ただの寄せ集めでなんとなく走るのは勿体ないことです。
各大学から集まった選手たちと明確な目標を共有して戦うチーム力が大事になります。
今日の青山学院大学にも活かされている原監督の指導力はこんなところでも発揮されていたんですね。
ちなみに青山学院大学は次の第85回大会で見事に予選会を突破して箱根駅伝本大会出場を果たし、今日までに続く強豪としての一歩を踏み出しています。
関東学生連合のチーム結託の難しさについては、週刊文春で連載中の池井戸潤さんの小説「俺たちの箱根駅伝」で描かれていますので、ぜひ読んでみてください!
原監督のような、カリスマ的存在の監督が、バラバラだったチームを一つの目標に導いていくストーリーは胸が熱くなりますよ^^
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箱根駅伝関東学生連合まとめ
箱根駅伝を本気で狙っている選手としては、連合チーム枠での出場よりも、当然自校の襷で走りたいというのが正直なところでしょう。
ですが、チームとして箱根駅伝出場を視野に入れていない大学の選手たちにとっては、自校での出走は叶わないものの、「頑張れば、箱根駅伝に出場できるチャンスがある!」と前向きに捉えることが出来る存在でもあります。
一例を挙げると、長年マラソンで活躍されている川内優輝選手は、チームとして箱根駅伝出場未経験の学習院大学在学中に2回、第83回と第85回大会で6区に出走しているんですよ^^
筆者も昔、箱根駅伝のお手伝いをしたことがあるのですが、大手町で関東学生連合チームが、16位相当の順位でアンカーの選手を待ち受けていた時の姿を今でも鮮明に覚えています。
ユニフォームやジャージの色も違う選手たちでしたが、アンカーの選手がゴールに帰ってくると抱き合って喜び、「学連最高!」と叫んでいました。
少しでも多くの選手たちに箱根の舞台を経験してもらいたい、その思いを体現してくれていた彼らを見て、私は連合チームの意義は大いにあったのではないかと思います。
今年もたくさんの経験を自チームに持って帰って欲しいと願うばかりです。