お正月のテレビ番組と言えば、箱根駅伝ですよね。
まだじっくりご覧になったことがない方でも「テレビをつけたら学生たちが襷を身に着けて走っていた」という映像を見た経験がある方も多いのではないでしょうか。
一見するとただ走っているだけに思われがちな箱根駅伝ですが、走る区間によって様々な違いや見どころがあります。
予めこの点を把握して見るのと、見ないのとでは、レースの楽しさが全然違ってきますよ!
そんなわけで、今回は箱根駅伝の舞台となる往路・復路の区間特徴や、コースについてまとめてみました。
箱根駅伝の往路は何区まであるの?
箱根駅伝の往路は全部で5区間あります。
箱根駅伝は2日間かけて、東京都千代田区大手町にある読売新聞本社前と、神奈川県足柄下郡箱根町の芦ノ湖を往復するレースで、復路も5区間あり、計10区間を10人の選手が走ります。
まず、往路の5区間について、それぞれの特徴をご紹介していきましょう。
- 第1区(読売新聞本社前→鶴見中継所:21.3km)
コースはほぼ平坦です。終盤の東京から神奈川へとかかる六郷橋にややアップダウンがあり、特に六郷橋を走り終えて下りに入る地点で、ラストスパートをかける展開が多く見受けられます。 - 第2区(鶴見中継所→戸塚中継所:23.1km)
「花の2区」と称されるこのコースは例年各チームのエースが集います。14km付近の権太坂(ごんたざか)と、ラスト3kmで、1km毎に上って下ってまた上るというアップダウンがあります。特に最後の1kmは「戸塚の壁」と呼ばれる急激な上り坂が選手を待ち構えています。 - 第3区(戸塚中継所→平塚中継所:21.4km)
戸塚中継所を出た選手は神奈川県藤沢市の遊行寺付近にある坂道を下っていきます。下ってからはほぼ平坦なコースとなり、湘南海岸へ出ると、そこから平塚中継所までは海沿いの道を走ることになります。晴れている日には選手の進行方向に富士山を臨むことが出来る絶景のコースとも言えます。スピードのある選手が起用されることが多い区間です。 - 第4区(平塚中継所→小田原中継所:20.9km)
4区は細かいアップダウンが多いコースになります。この上り下りをストレスと感じるか、うまくアクセントと捉えてリズムよく走ることが出来るかで、かなりタイムが変わってくると言えます。 - 第5区(小田原中継所→芦ノ湖:20.8km)
往路のハイライトでもある「山登り」と呼ばれる区間です。小田原中継所を出て3kmほど進むと、本格的な上り坂が始まります。特に途中の11km付近の宮ノ下では急激な上り坂が待ち構えます。国道1号線の最高到達点・標高874mを超えて16kmを過ぎた所から一転して、芦ノ湖のゴールまでは下り坂になります。この下り坂で意外とタイム差がつくので、いかに上りから下りへと走り方を切り替えることが出来るかがポイントになります。
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箱根駅伝の往路と復路の違いは何?
往路と復路の違いは、簡単に言えば、往路は東京から箱根へ、復路は箱根から東京へ走ることです。
「なんだぁ、ただ同じ道を行って帰ってくるだけか~」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、箱根駅伝はただの往復レースではありません。
距離が長いだけに、同じコースであっても、その日の気象条件やレース展開等、様々な影響を受けるのが、この駅伝の最大の特徴と言っても過言ではないでしょう。
気象条件、特に風はレースに影響を与えることが多く、選手やスタッフの方々も注意している点の一つです。
筆者が印象に残っている2001年の第77回大会では、往路から強烈な向かい風が続き、特に5区の箱根山中では、テレビ中継車が揺らぐほどの強風が吹き荒れていました。
選手も中継車の真後ろに付いて、少しでも風よけにしようとしていたほどでした。
また、気温の変化も大事なポイントになります。
箱根山中を走る5区、6区では気温の低下により体が冷えて低体温症となってしまい、実力を発揮できない、あるいはリタイヤしてしまう、というケースもあります。
その一方で、復路の9区、10区と終盤になるにつれて、晴れた日のレースであれば、昼間の太陽が高い時間となりますので、気温の上昇が脱水症状等を引き起こす等、選手の走りに影響を及ぼすことがあります。
スタートとなる1区は全チーム揃って「用意ドン!」でのレースとなりますが、2区以降は前後にタイム差がある中でのレースになります。
そこで駅伝を走る上で選手に求められるのは、「自分一人でペースを組み立てて走ることが出来る」という能力になります。
駅伝ではよく「単独走」という言い方をします。
トラック競技や練習では強いけれど、一人で走らせるとペースが掴めない、速いペースを持続できない、という選手は、駅伝メンバーから外れることもしばしばあります。
特に往路よりもそれぞれのチームのタイム差が大きくなりがちな復路では、この単独走に長けた選手が起用されることが多いです。
逆に往路は、競り合いに強く勝負強い、またスピードのある選手が多く起用される傾向にあると言えるでしょう。
特に1区はどのチームも出遅れたくないと考えており、スピードの切り替えが得意な選手、ハイペースにもラスト勝負にも対応できるエース級の選手を投入してくることが珍しくありません。
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箱根駅伝の往路と復路を同じ人が走ってもいいの?
往路と復路で同じ人が走ることは出来ません。
必ず10人以上のメンバーを揃える必要があります。
これは私見ですが、仮に同じ人が走ったとしても、2日連続で20km以上のレースを走って、両日とも同じぐらいの力を発揮することはまず不可能でしょう^^;
また、各区間とも特徴があるため、それぞれのコースに適した選手配置が求められます。
ここでは復路の特徴を見てみましょう。
- 第6区(芦ノ湖→小田原中継所:20.8km)
往路の山登りの逆で、一般には「山下り」と呼ばれる区間になります。最初に4kmの坂を上りますが、そこからは一転して急激な下り坂となります。下り坂はスピードが出る分、足へ掛かる負担も大きく、平地を走っている時の3倍の衝撃が掛かるとも言われています。「自転車を手放しで下るようなもの」なんて例えもあるくらいです。ラスト3kmでほぼ平坦な道となるのですが、下りで飛ばしてきた選手にとっては、ここが逆に上りにすら感じるほど足へのダメージは大きく、きついのだそうです。 - 第7区(小田原中継所→平塚中継所:21.3km)
こちらは往路と同じく、細かいアップダウンが続くコースとなっており、いかにリズムよく上り下りを走ることが出来るかが重要になります。コース終盤のみ道路の都合上、若干迂回するため、距離が往路(20.9km)より少し長くなっています。 - 第8区(平塚中継所→戸塚中継所:21.4km)
序盤から中盤まで平坦な道が続くものの、15kmあたりから続く遊行寺の坂があり、上りに強い選手が走ることが多いです。下位を走るチームにとってはそろそろ繰り上げスタート(先頭が中継所で襷を渡してから20分後に襷渡しをしていないチームの選手が一斉スタートします)が気になる区間でもあります。 - 第9区(戸塚中継所→鶴見中継所:23.1km)
復路のエース区間(裏の2区)とも呼ばれる9区は最長の23.1km。序盤と権太坂のアップダウンを過ぎると平坦な道になります。ポイントとしては最初の下り坂を飛ばしすぎないことが挙げられます。繰り上げスタートが起こる可能性が非常に高い区間で、鶴見中継所では多くの大会で無情なシーンが見受けられます。 - 第10区(鶴見中継所→読売新聞本社前:23.0km)
9人の選手たちが繋いできた襷をゴールまで運ぶアンカー区間。コース自体は平坦ですが、気温の上昇と都心のビル風が選手を苦しめます。往路とは異なり、終盤に銀座や日本橋を通るコースとなっており、沿道は二重三重の人垣が出来るほどの駅伝ファンで埋め尽くされます。日本橋を過ぎると残り1km。どこのチームが最初にゴールへと飛び込むでしょうか!?
箱根駅伝マニアの方だけでなく、初心者さんにおすすめなのが、「あまりに細かすぎる箱根駅伝」という雑誌です。
事細かにコースの見どころが、全ページフルカラーのコース図と共に紹介されているので、これを片手にテレビ観戦すると、間違いなく箱根駅伝を2倍楽しめます。
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箱根駅伝の往路と復路まとめ
箱根駅伝の往路と復路のコースについてまとめてみました。
平坦な区間から、上り下り、風や気温等、バラエティに富んだコースがあるのが、この駅伝の魅力でもあります。
また区間も10区間あり、区間が多ければ多いほど、様々な特徴を持った選手たちの走りを見ることが出来ます。
特に山登りの5区と山下りの6区は、1年かけて「スペシャリスト」を養成してくるチームも多いです。
どの選手が上りや下りに強いか、といった点も併せて各区間の特徴を押さえながら見てみると、初めて見る箱根駅伝がより楽しめると思います。
ぜひ1月2日、3日はテレビ等で箱根駅伝を楽しんでくださいね!