皆さんはバレーボールの試合で、1人だけ違う色のユニフォームを着ている選手がいることに気づいていますでしょうか?
あれは「リベロ」というポジションで、攻撃参加が出来ない守備専門のプレーヤーです。
イタリア語で「自由」を意味し、「コートに出入りすることが”自由”にできる」という特性上から、リベロと呼ばれています。
ちなみに私が小学生だった頃は、まだリベロのポジションはなかったので、社会人になってから試合を見に行って初めてその存在を知りました。
今回は初心にかえって、「リベロってなんぞ?」ということを説明していきたいと思います。
バレーボールのリベロはいつから始まった?
リベロのポジションがゲームで認められたのは、1998年の世界選手権です。
1996年ワールドスーパーチャレンジと、1997年ワールドグランドチャンピオンズカップで試験的に導入され、正式に国際ルールとして採用されたのが1998年からでした。
レシーブなどの守備専門のプレーヤーのリベロは、「低身長の選手でも活躍できる場を設ける」という趣旨の元、導入されました。
以降、守備の要として、バレーボールのほとんどのチームが採用しています。
リベロはスパイクやブロック、サーブに参加することは出来ません(オーバーハンドのトスについては、アタックラインより後ろであれば可能。アタックラインより前ではアンダーハンドのみ可能)。
しかし、後衛ポジションの選手とは試合中何度でも交代することが可能です。
バレーボールは1セットにつき6回まで交代が可能ですが、リベロの選手の出入りは何度でも可能で、それが「自由」という名前に繋がっています。
また、リベロは必ずしも全チームが全試合で導入しなければならないというポジションではありません。
1試合につき1チーム2名まで登録が可能となっているだけで、必ずリベロを起用しなければならないというルールはありません。
とは言え、ほとんどのチームがリベロを起用していることからも、いかにこのポジションが大切なのかを窺い知ることが出来ます。
ちなみに日本人で初のリベロの選手となったのは、津雲博子選手です。
上記の試験的にリベロが採用された1997年のワールドグランドチャンピオンズカップで、初めて日本代表のリベロの選手としてコートに立ちました。
正式採用されてからは、1999年のワールドカップで、津雲選手はベストサーブレシーバーと、ベストレシーバーの個人タイトルを獲得し、名実ともに世界No.1のリベロとして活躍しました。
これは私の勝手なイメージですが、日本のバレーボールは「拾って繋ぐ」という粘り強さが一つの特徴かなと思っていて、リベロはその象徴的なポジションにも思えます。
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バレーボールのリベロは身長が低い人が多い?
上記の通り、リベロは身長の低い選手でも活躍の場を設ける趣旨の元、導入されていますので、スパイクやブロックなど、どうしても高さの必要性が求められる前衛のポジションと比べると、身長の低い選手が多いのは事実です。
バレーボールプレーヤーは、日本人でも身長が2mを超える選手がいますが、リベロは170cm前後の選手も多く活躍しています。
参考までに、2023年開催のネーションズリーグの男子日本代表のリベロの身長は下記の通りとなります(括弧内は日本代表に選出された当時の所属で現在は退団、移籍している選手もいます)。
- 小川智大選手(ウルフドッグス名古屋):175cm
- 築城智選手(ベルリン・リサイクリングバレーズ):174cm
- 山本智大選手(堺ブレイザーズ):171cm
- 藤中颯志選手(サントリーサンバーズ):178cm
- 備一真選手(VC長野トライデンツ):168cm
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バレーボールのリベロに向いている人は?
主観になりますが、レシーブが得意な人はもちろんのこと、粘り強い姿勢と、他選手とのコミュニケーション能力に優れている選手が向いていると思われます。
バレーボールはポジションのローテーションがあるので、どれだけ攻撃に優れている選手であってもレシーブ、ボールを拾う能力は求められると言えるでしょう。
しかし、リベロを後衛ポジションに置くことで、より相手のサーブやスパイクへの対応力が高くなり、守備の安定性がもたらされます。
安定してレシーブからボールが上がることで、それが攻撃にも繋がりますね。
また、交代が何度でも可能な点から、ゲーム中に監督やコーチと情報や意見交換をしたり、指示をコート上の選手に伝えたりすることが出来るなど、ゲームをコントロールする役目としての期待も大きいのです。
ゲーム中に声を出して指示をするシーンは、リベロの選手に数多く見受けられます。
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バレーボールのリベロまとめ
バレーボールのリベロは、守備に安定をもたらし、攻撃に繋げる「職人」ともいえるポジションとも言えるでしょう。
なお、私は当初リベロの選手を見た時、「レシーブすることしか出来ないし、つまらなくないのかな?」などと大変失礼な感想を持っていましたが、チーム戦略に照らしてみても、とても重要なポジションであることを最近理解してきました。
リベロはユニフォームが異なることもあって、観戦の際は一目でわかりやすいポジションでもあります。
次回試合観戦をされる際は、ぜひレシーブに奔走するリベロに注目してみてください!