1月末で駅伝シーズンはひと段落したところで、ロードレース、特にマラソンシーズンが本格化します。
2月の第一日曜日には例年通り別府大分毎日マラソン(以下・別大マラソン)が開催されます。
MGCファイナルチャレンジには指定されていませんが、毎年「新人の登竜門」と称されるこの大会では、初マラソンの選手や、新たな日本代表候補と目される選手たちが活躍してくれます。
特にニューイヤー駅伝で実業団選手に興味を持った方に、この記事を楽しんでもらえれば嬉しいです。
別府大分毎日マラソンの注目選手は?
大阪国際女子マラソンに続いて、日本人選手の活躍を期待したいところなので、まずは個人的に注目している日本人選手からご紹介したいと思います。
下田裕太選手(GMOインターネットグループ)
駅伝ファンならお馴染み、青山学院大学時代から活躍が期待された選手ですね。
昨年10月のMGCでは序盤から遅れてしまい、まさかの45位と力を発揮できなかった感がありますが、今回の別大では優勝を狙うとのコメントを出しており、悔しさをぶつけてくるでしょう。
正月のニューイヤー駅伝では出走しませんでしたが、先週1月21日の奥球磨ロードレースのハーフマラソンでは、1時間03分23秒で2位となっています。
別大マラソン2週間前のため、おそらくは1km3分でのペース走で最終確認をしたのではないかと思われます。
【結果報告】
第10回 公認奥球磨ロードレース大会2024年1月21日(日)
ハーフマラソンの部(一般男子)#吉田祐也 1時間03分07秒 1位#下田裕太 1時間03分23秒 2位
応援ありがとうございました!#GMOインターネットグループ pic.twitter.com/eqiPYnUThT
— GMOインターネットグループ(陸上部) (@GMOrunningteam) January 21, 2024
岸本大紀選手(GMOインターネットグループ)
こちらも青山学院大学で箱根路を沸かせた選手の一人で、今回が初マラソンです。
社会人1年目の今シーズンは、5000m、10000mで自己記録を更新。
昨年11月の八王子ロングディスタンスでは10000m27分台突入となる27分54秒91をマーク。
ニューイヤー駅伝では5区区間16位と思うような結果ではなかったと思いますが、スピードに磨きをかけた岸本選手は、レースの流れにはまればかなりの好タイムを出す可能性を秘めていると思います。
新年明けましておめでとうございます!
ニューイヤー駅伝での多くのサポート声援ありがとうございました!
悔しい結果となり、力不足を痛感しました!
2024年も精進してまいりますのでご声援のほどよろしくおねがいいたします!
青学の後輩たち復路も頑張れー!!#GMOインターネットグループ陸上部 pic.twitter.com/VDOL0AZ5yp— 岸本大紀 (@kishimoto_1007) January 2, 2024
牟田祐樹選手(ロジスティード)
こちらも初マラソンとなる牟田選手。
明治大学在学時は3年、4年次に箱根駅伝を走っており、現在ロジスティードではキャプテンを務めています。
これまではトラックやハーフマラソン、駅伝を中心に活躍し、5000mは13分39秒02、10000m27分56秒25、ハーフマラソン1時間01分10秒と、スピードが持ち味の選手です。
長い距離にどこまで適応してくるかは未知数ですが、こちらも岸本選手同様、うまく流れに乗って好記録を期待したいところです。
#八王子ロングディスタンス
男子10000m5組
牟田 祐樹(ロジスティード)28.04.41
ティモシー・キベット(メイクス)28.09.86
ポール・オニエゴ(富士山の銘水)28.10.36
細森 大輔(YKK)28.14.66
伊豫田 達弥(富士通)28.14.80 pic.twitter.com/Ujl5uqx4cU— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) November 25, 2023
小山裕太選手(トーエネック)
昨年10月のMGC出場選手の一人。
MGCでは30kmで遅れてしまい、21位と思うようなレースではなかったと思いますが、自己記録は2時間07分台57秒を持っており、今回は優勝と自己記録の更新を目標に掲げています。
駒澤大学時代に箱根駅伝出走経験はなく、実業団に進んでコツコツと力をつけてきた選手です。
直近のレースは正月のニューイヤー駅伝で、6区区間18位と、やや苦しい走りになりましたが、それ以降は試合には出ておらず、別大に向けてじっくり調整しているものと思われます。
派手さのある選手ではないかもしれませんが、マラソンには地道にコツコツ積み上げることの出来る選手が向いていると思いますので、個人的に期待しています。
目標達成とはならなかったけれど、MGCが終わってから決して順調ではない道のりの中では次に繋がるレースだったと思います。
次のレースはもうすぐやってくるので、日々のトレーニングを大切にまた明日から準備します🏃たくさんの応援ありがとうございました!
今年もよろしくお願いします🫶 pic.twitter.com/quPFJdFZKt— 小山 裕太 Yuta Koyama (@k_yuuutaaa) January 1, 2024
海外招待選手
今回の別大マラソンの海外招待選手は3名と、少ないのですが、いずれも2時間06分台の記録を持つ選手で、日本選手の前に立ちはだかることでしょう。
中でも、アイチェウ・バンチエ(エチオピア)選手は、2時間05分40秒を目標にしているとのことで、1km3分を切る速いペースでレースが進む可能性もあります。
モロッコのモハメドレダ・エルアーラビ選手、ヒシャム・ラクーアヒ選手も、自国のパリオリンピックマラソン代表がかかっており、タイムと共に優勝を狙ってくるはずです。
#第72回別府大分毎日マラソン
【海外招待選手】
🎖️No.1 アイチェウ・バンチエ(エチオピア)
🎖️No.2 モハメドレダ・エルアーラビ(モロッコ)
🎖️No.3 ヒシャム・ラクーアヒ(モロッコ)【紹介ページ】https://t.co/MOg8kw0Fp9#別大マラソン pic.twitter.com/ZFownOF4Wy
— 第72回別府大分毎日マラソン【公式】 (@betsudai_m) January 19, 2024
学生ランナー
今年の箱根駅伝を沸かせた太田蒼生選手は残念ながら欠場となりましたが、白石光星選手、倉本玄太選手の青山学院大学初マラソン組にも、どこまで食らいつけるか注目したいと思います。
前回大会では横田俊吾選手が日本学生記録を更新し、MGCの出場権を獲得し、学生でもマラソンで力を発揮することが出来ることを証明しました。
別大には何かと相性のいい青山学院大学勢なので、そこにも期待したいですね。
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別府大分毎日マラソンのペースメーカーは誰がやるの?
今回のペースメーカーは4名で、いずれも日本の大学や実業団に所属するケニア人選手です。
- ノア・キプリモ選手(戸上電機製作所)
- チャールズ・ワンジク・カマウ選手(武蔵野学院大学)
- ロロット・アンドリュー選手(YKK)
- パトリック・カマウ選手(上武大学)
おそらくは、25~30kmまでを引っ張ることになると思いますが、気になるのはペース設定です。
今回の招待選手や一般参加の実力のある選手たちの目標や自己記録を見る限りではありますが、バンチエ選手が2時間05分台を目標にしているのに対し、それ以外の選手は記録に対する明言をしていません。
2時間07分台の自己記録を持つ選手は数名いますので、それ以上の記録を狙うことにはなると思いますが、仮に1km3分ちょうどのペースで行くと、2時間06分35秒。
しかし、バンチエ選手のターゲットタイムを考えると、ペースメーカーの設定はそれより速くなければなりません。
はたしてバンチエ選手がどのくらいのペースを求めているのか、それによってレース展開も変わるかもしれませんね。
日本人選手それぞれの目標だけを考えたならば、おそらくは上記の1km3分ペースでいくものと思われます。
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別府大分毎日マラソンの参加人数はどれくらい?
かつては参加資格記録が2時間40分00秒と、エリートレースの一つに数えられた別大マラソンも、広く門戸を開放し、市民ランナー参加型へのレースへとその姿を変えつつあります。
今回は招待選手10名に加えて一般参加選手(視覚障がい者選手含む)が4389名、合わせて4399名がエントリーしています。
参加資格記録も近年は大きく緩和され、1~4まであるカテゴリーに、選手は自身の持ちタイムに応じて、エントリーすることになります。
各カテゴリーの参加資格記録は以下の通りとなります。
- カテゴリー1(152名/陸連登録者…希望者全員が出走可能)
– マラソン:2時間30分00秒以内
– 30kmロードレース:1時間40分00秒以内
– ハーフマラソン:1時間10分00秒以内
– 日本陸上競技連盟、日本実業団陸上競技連合、日本学生陸上競技連合、都道府県陸協の推薦がある者
– 主催者が招待する競技者 - カテゴリー2(1051名/陸連登録者)…希望者全員が出走可能
– マラソン:2時間55分00秒以内 - カテゴリー3(565名/陸連登録者)…希望者全員が出走可能
– マラソン:2時間59分59秒以内
– 30kmロードレース:1時間54分00秒以内
– ハーフマラソン:1時間17分00秒以内 - カテゴリー4(1370名/陸連登録者、1238名/陸連未登録者)…1~3の人数次第で抽選
– マラソン:3時間30分00秒以内
大会要項には定員が総数4000人と記載がありますが、それを上回る選手がエントリーされており、主催者側も出来るだけ多くの方々に走ってもらおうという姿勢を見せてくださっているのかもしれませんね。
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別府大分毎日マラソンの注目選手まとめ
近年では大規模市民マラソンの開催が多くなり、かつての福岡国際マラソンや東京国際マラソン、びわ湖毎日マラソン、そしてこの別府大分毎日マラソンといった、少数のトップ選手が参加するいわゆるエリートレースは徐々に少なくなっています。
別大マラソンも時代の流れに対応して、市民参加型のマラソンにシフトしつつあるのかもしれません。
大阪国際女子マラソンのように、市民ランナー憧れの存在として大会を継続していくのか、今後4000人から10000人規模のマラソンへと変貌を遂げるのか、個人的には注目している大会でもあります。
かつては「記録の別大」とも呼ばれた本大会は、幾多のオリンピック日本代表選手を輩出してきましたので、今回もどんな新星が飛び出すか、といった点に加えて、市民ランナーの皆さんの健闘も祈りつつ、応援したいと思います!