東京オリンピックが1年延期になったこともありますが、もう2024年にはパリオリンピックが開催されます。時が過ぎるのは早いですね。
真冬のこの時期は大きなマラソン大会が多数開催されており、特にテレビ中継されるようなレベルのマラソンでは、盛んに「MGC」という単語を耳にする方も多いのではないでしょうか。
マラソンに興味を持ち始めたけれど、MGCやパリオリンピックの代表選手選考方法がわからない、という方も多いかもしれませんね。
そこで今回は、初心者の方にもわかりやすく、このMGCについてまとめてみました!
マラソンのMGCって何?
マラソンを見ていると、しきりに「MGC」という言葉が出てきますが、これってどういう意味なのでしょう?
MGCとは「Marathon Grand Championship」の略で、日本陸上競技連盟(以下・陸連)が主催するオリンピックのマラソン選手日本代表選考会のことです。
MGCでは、優勝した選手と2位の選手にオリンピックのマラソン日本代表選手となる権利が与えられます。
東京オリンピック2020の時に、初めて代表選手選考会としてMGCは開催されました。
2019年9月15日に開催されたMGCで、男子は中村匠吾選手(富士通)が優勝、2位に服部勇馬選手(トヨタ自動車)が、女子は前田穂南選手(天満屋)が優勝、2位に鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)が入ったことが記憶に新しいですが、実はテレビで何となく見ていた方もいるかもしれませんね。
従来の選考方法と課題
ちなみに、東京オリンピック2020よりも前の大会については、国内で陸連が主催している複数のレースが、選考会として指定されていました。
例えば男子なら、福岡国際マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソンなどです。
これらのレースの上位結果から代表選手が選考されていましたが、気象条件やレース展開が異なることもあり、いわゆる「一発勝負」の選考レースがある方が良いのではないかという声も以前からありました。
ですが、この一発勝負の選考レースの実現がなかなか難しかったのです。
各マラソンには、朝日新聞社や読売新聞社、毎日新聞社、産経新聞社などの新聞社がたくさん共催・後援についており、長年日本のマラソンの発展に貢献し続けてきました。
その中のどれか一つに絞るという判断は難しいことだったのです。
MGCに出場するには?
そこで考案されたのがMGCです。
上記の福岡国際や東京、びわ湖といった各マラソンを「MGCチャレンジ」という位置づけで開催し、それぞれのマラソンで指定された順位、タイムを突破した選手が一発勝負となるMGCに出場する権利を得ます。
つまり選手は、まずMGCチャレンジに指定された大会で順位と記録を突破し、さらにMGCで2位以内に入ることで、日本代表になることが出来るということです。
オリンピックに出るためには、突破しなければならないレースが2つあるということですね。
他にも世界選手権や海外のマラソン大会等で、一定の順位や記録を出した選手については、ワイルドカードとしてMGCに出場することも可能です。
指定された大会や、そこで求められる順位、記録の詳細はこちらより参考頂けます。
3人目の代表選手選考について
ここで「あれ?オリンピック代表は3名いるんじゃなかったっけ?」と思った方もいらっしゃるかと思います。
MGCで決まるのは2人で、残りの1名はどのように選考されるかと言いますと、上記の各マラソン大会が最終選考会(MGCファイナルチャレンジ)として行われるのです。
2022年12月8日に発表された陸連のパリオリンピックマラソン日本代表選考方針には次の記載があります。
5.選考基準
編成方針に基づき、以下の優先順位により、日本代表選手を選考する。
(1)MGC 優勝者
(2)MGC 2 位の競技者
(3)MGC ファイナルチャレンジにおいて MGC ファイナルチャレンジ設定記録を突破した記録最上位の競技者。但し、MGC チャレンジ*1に出場(完走)、または、2023 年度開催の MGC 出場資格を有する者を条件とする。
(4)選考基準(3)を満たす競技者がいない場合、MGC3 位の競技者
なお、現時点ではMGCファイナルチャレンジの設定記録は発表されていません。
とにかく3人目に選ばれるためには順位も記録も求められます。
しかも開催レースが複数あることから、選手は気が気ではないですね。
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MGCのマラソンはいつあるの?
パリオリンピックのMGC開催日は2023年10月15日(日)で、場所は東京で行われます。
コースは国立競技場を発着点とするコースで、東京レガシーハーフマラソンと併催されます。
東京の中心部を走り抜けるコースであり、声援も解禁されれば、大いに沿道は盛り上がりそうですね!
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MGCのマラソンに賞金は出るの?
こちらは今回のパリオリンピック選考のMGCの要項に何も記載がないため、おそらく賞金は出ないでしょう。
ちなみに、東京オリンピック2020代表選考のMGCでも賞金はありませんでした。
これに関しては選手側から声が上がっています。
東京オリンピックマラソン代表の大迫傑選手(ナイキ)は「お金は沢山動いている筈なのに、なぜ僕らの手に渡らなかったのでしょうか。」と疑問を呈していました。
今は選手たちも「自分が走ることで生計を立てている。家族を養っている。」という意識を持つ方々が増えてきています。
走ることで対価を求めるのは自然なことかもしれません。
オリンピックは長らくアマチュアリズムの象徴としての大会でもありましたが、スポーツで稼ぐことも生計を立てる選択肢の一つとして認識されないと発展しないと思います。
そういう意味では選手側から声が上がるようになったことは、大変意義のあることではないかと思います。
MGCまとめ
以前は、社会問題にすら発展したオリンピックのマラソン代表選手選考。
今は基準が明確に決まっているので、わかりやすくなりましたし、選手側も納得できるシステムと言えるでしょう。
賞金レースにするかどうかについては、今後も検討の余地があると思いますが、今は間違いなく日本の中でスポーツに対する価値や評価が変わりつつある時代に差し掛かっていると思いますので、陸上競技やマラソンだけでなく、スポーツ界全体でどういう認識になっていくのかを注目したいと思います。
国内では残すところ大阪マラソン、東京マラソン、名古屋ウィメンズマラソンがMGCチャレンジ大会として残されています。
それが終わればMGCへ出場する選手が決まりますが、残り3大会でどんな選手が出場権を獲得するかも楽しみですね!