みなさんは、箱根駅伝は毎年見られていますか?
私は母校が箱根駅伝には出ていないので、特に贔屓にしている大学はないのですが、やっぱり箱根は最初から最後までずっと見てしまう不思議な魅力がありますね。
箱根駅伝の特集番組や記事などを見ていると、私が学生の頃とは大学陸上部の様子も変化しており、それぞれ指導者や指導法も多様化しているのではないかと感じます。
数年で指導者が変わる大学もあれば、長年同じ監督が指導を続けている大学もあります。
そこで今回は、その中でも毎年多くの注目を浴びている青山学院大学の長距離ブロックに注目してみたいと思います。
2023年度で19年目の指揮を執る原晋監督率いる本競技部の強さの秘密に迫りますよー!
学駅伝部のキャプテンの歴代を知りたい
青山学院大学の長距離ブロックは2004年に原監督が就任しました。
就任5年目となる2008年10月の箱根駅伝予選会を突破し、2009年1月の箱根駅伝本大会に同校は33年ぶりに出場。
以来、着実に結果を残し、箱根駅伝では4連覇を含め6回の総合優勝を成し遂げる強豪校となりました。
ここではまず、原監督就任後の歴代キャプテンの方々を一覧にしてみましたのでご覧ください。
- 2004年度:佐藤良仁さん
- 2005年度:大中健嗣さん
- 2006年度:古矢真志さん
- 2007年度:檜山雄一郎さん
- 2008年度:先崎祐也さん
- 2009年度:荒井輔さん
- 2010年度:小林駿祐さん
- 2011年度:川村駿吾さん
- 2012年度:出岐雄大さん
- 2013年度:井上尚樹さん
- 2014年度:藤川拓也さん
- 2015年度:神野大地さん
- 2016年度:安藤悠哉さん
- 2017年度:吉永竜聖さん
- 2018年度:森田歩希さん
- 2019年度:鈴木塁人さん
- 2020年度:神林勇太さん
- 2021年度:飯田貴之さん
- 2022年度:宮坂大器さん
- 2023年度:志貴勇斗さん
- 2024年度:田中悠登さん
田中アナ。主将へ。
箱根駅伝連覇狙う青学大の新主将はアナウンサー志望の田中悠登 主将が2年連続で箱根不出場のジンクスは「意識しない」 : スポーツ報知 https://t.co/Yeqw433jak
— EKIDEN NEWS (@EKIDEN_News) February 7, 2024
いかに強豪の青山学院といえども、原監督が就任した当初から強かったわけでも、名選手がいたわけでもありません。
予選会を突破するまでには5年の歳月を要しており、いかに箱根駅伝に出ることが難しいことなのかを考えさせられます。
そんな中、こうした歴代のキャプテンの方々、そして選手の方々はどのように原監督の指導を受け、どのように成長していったのでしょうか。
駅伝ファン、青山学院のファンの方でしたら興味は尽きないですよね。
次の章で説明していきます!
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青学駅伝部はなぜ強いの?
強さの秘訣はなんといっても原監督の「選手に考えさせる」指導力だと思います。
各メディアのインタビューを受けるたびに、原監督は「選手の自主性」を挙げています。
あれやれ、これやれ、というトップダウン型の指導ではなく、選手一人一人に「考える力」を養わせることを大事にしているとのことです。
上記原監督の著書と、東洋経済ONLINEに原監督が寄稿されている「強いチームは指示待ちしない」が大変興味深い内容でしたので、下記に一部要約させて頂いたものを共有したいと思います。
監督の役割とは何かと問われて、「監督が指示を出さなくても部員それぞれがやるべきことを考えて、実行できるチームです。」と回答している原監督は、「グラウンドでの定位置は離れた場所」とも仰っています。
それは、チーム全体を俯瞰で見渡す、観察することで状況や変化を感じ取り、気づくことであり、監督中心ではなく選手一人一人が自主的に話し合い、行動することを促すための方法であるということです。
選手たちだけで間違った方向へ行きそうだなと思った時だけ、動くのだとか。
選手が自主的に意見を出してそれが採用されれば、それは選手にとっての一つの成功体験となります。
成功すると「次はこうしてみよう」という姿勢も生まれ、その積み重ねがチームとしての土壌になります。
もちろん最初から青山学院に考える力を持つ選手が集まっていたか、考える習慣のあるチームだったかというとそんなことはなく、原監督も「選手が自分たちで意見を言えるようになるまでとことん待った。」とのこと。
こうして長年培ってきた土壌があってこそ、選手の意識が高まり、組織としての成長が生まれるのでしょう。
多分練習内容「だけ」を見れば、他の大学とそんなに大きな違いはないと思います。
春にはトラックでスピードを磨き、夏には合宿で長い距離を走り込む。そして秋からの駅伝シーズンに突入する。その流れは他大学も同じだと思います。
原監督はこうも仰っています。
仮に就任当初、箱根駅伝で完全優勝した2016年のメンバーがそろっていたとしても優勝は難しかったと思います。選手の素質だけである程度の結果は残せたかもしれませんが、強豪校と競り合って上位争いをすることは難しかったでしょう。なぜなら、「チームとして優勝する力」がまだ備わっていなかったからです。
東洋経済ONLINE 青学・原監督「強いチームは指示待ちしない」
選手たちの素質が高いだけではなく、駅伝を戦うチームとしての組織力が足りないと勝てない。
組織力はすなわち選手一人一人の意識、考える力の融合と言えるでしょう。
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青学駅伝部のコーチは誰?
青山学院大学の公式サイトによると、原監督の他にコーチの方が2人いらっしゃいます。
安藤弘敏さんと、伊藤雅一さんです。
青山学院本部広報部「アオガクプラス」によると、安藤さんは、2004年の原監督招聘に際して尽力され、長年青山学院の駅伝強化に携わっていらっしゃいます。
青学OBではない原監督(原監督は中京大学の出身)を招聘するに際しては、内外から批判の声もあったそうです。
部内やOB会で軋轢も生み、そのたびに矢面に立たされてきたのが安藤さんだったのだとか。
ですが、長年原監督とタッグを組み、近年の強豪校にまで上り詰めた青山学院を作り出しました。
安藤さんをはじめ、当時のスタッフの方々が原監督招聘の決断をしていなかったら、今の青学駅伝部はなかったかもしれませんね。
また、伊藤さんは青山学院大学陸上競技部のOBで、原監督の指導を受けていたお一人になります。
伊藤さんは主にマネージャーとしてチームを支え、4年時には主務も務めていらっしゃいます。
まだ20代と若く、それでいて原監督の指導法を理解している力強い存在と言えるでしょう。
筆者の指導者体験談
これは余談ですが、筆者も母校の高校陸上競技部で外部指導者(コーチ)を務めた経験があります。
仕事をしながらの外部指導者だったため、週末以外はグラウンドに行くことが出来ず、必然的に選手には自分たちで考えて頑張ってもらうしかありませんでした。
でも上記でも示してある通り、いきなり選手たちに「自分で考えること」を求めるのはとても難しいことで、時間もかかります。
理想では「考えてもらう」と言っていても、実際には口出しや指示をしていたことも多かったなと思いました。
「どうやったら考える選手が育つか」、常にそれを考えていました。
ミーティングの際は、その日行った練習に関してなんでもいいから思ったことを話すように機会を設けたり、練習メニューを複数提案してどちらか選択してもらったり、時にはメニューの希望を出してもらったり、少しでもヒントになれば、という気持ちでした。
やっぱり一から十まで言われたことしか出来ない選手というのは、いざ試合になっても自分でレースを組み立てることが出来ずに終わるんです。
私自身はその高校で県高校駅伝に出場させることだけで精一杯でしたが、原監督の指導法を書籍やメディアで触れるたびに、方向性は間違っていなかったと思っています。
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青学駅伝部まとめ
青山学院の強さをテーマに挙げれば、たくさんのキーワードが出てくると思います。
今回はそんな中でベースとなる選手たちの意識、自主性、自分たちで考える力に絞って書いてみました。
全国中学駅伝に出場するチームを作った私の恩師も常々「考えることの出来ない選手は強くならない」と仰っていたのですが、どこか似たような雰囲気づくりを青山学院には感じます。
もちろん箱根駅伝を走る大学生、大人と中学、高校では違うのかもしれませんが、駅伝にしてもどんなスポーツにしても、人間が行うことなので、「考える力」は絶対に必要になります。
今回は自分でもこの文章を書いていて、改めて考えることの大切さを再認識するきっかけとなりました。