今年も残すところあとわずかとなりましたね。
一段と寒さが増した頃、若い学生たちが必死にタスキを繋ぐ姿に感動を呼ぶ、そんなレースがまたやってきます。
今回は全国高校駅伝のルールについての説明や、ちょっとした疑問などについて取り上げてみたいと思います。
多分に筆者の意見も含まれていますが、よかったら最後まで読んでいただけると幸いです。
高校駅伝のルールを簡単に教えて!
全国高校駅伝も他の駅伝と同様に、各区間の選手がタスキを繋いで走り、ゴールを目指します。
高校駅伝では、各都道府県の予選、ブロック大会(関東、近畿など)、その全てが基本的には男女共に区間数、区間距離が統一されているのが特徴として挙げられます。
以下が男女別の区間一覧です。
カッコ内は全国高校駅伝のスタート、ゴール、および中継所です。
合計が男子はフルマラソン、女子はハーフマラソンの距離となっています。
【男子:42.195km/7区間】
- 第1区 10km(たけびしスタジアム京都→烏丸鞍馬口)
- 第2区 3km(烏丸鞍馬口→丸太町河原町)
- 第3区 8.1075km(丸太町河原町→国際会館前)
- 第4区 8.0875km(国際会館前→丸太町寺町)
- 第5区 3km(丸太町寺町→烏丸紫明)
- 第6区 5km(烏丸紫明→西大路下立売)
- 第7区 5km(西大路下立売→たけびしスタジアム京都)
【女子:21.0975km/5区間】
- 第1区 6km(たけびしスタジアム京都→衣笠校前)
- 第2区 4.0975km(衣笠校前→烏丸鞍馬口)
- 第3区 3km(烏丸鞍馬口→室町小学校前折返し→北大路船岡山)
- 第4区 3km(北大路船岡山→西大路下立売)
- 第5区 5km(西大路下立売→たけびしスタジアム京都)
都道府県によってコースは異なるものの、このように区間数、区間距離が同じであるため、全国高校駅伝を前に、総合タイムなどをある程度統一的にランキングとして見ることが出来ます。
「今年は、〇〇県の〇〇高校が、こんな速いタイムで走っているのか!」
「本戦では、〇〇高校と〇〇高校が優勝争いをしそうだね!」
といったように、ファンにとってもレース前から予想を楽しむことが出来るのが良いですね。
12/24 #全国高校駅伝 @京都
スタート
女子10時20分 男子12時30分
NHKでテレビ、ラジオ生中継(10時05分~)#高校駅伝
大会サイト🔻https://t.co/731DrkrV8P
関連記事🔻https://t.co/SWJF1DYTre
見どころ🔻https://t.co/KQcBRXhC6Ehttps://t.co/XEfft5DflG— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) December 23, 2023
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高校駅伝にも繰り上げスタートってあるの?
箱根駅伝ではお馴染みの光景となっている各中継所での繰り上げスタートは、高校駅伝ではあまりそのシーンは見かけませんが、繰り上げスタートはあります。
一般公道を使ってレースをしている以上、長時間に渡って交通規制を敷くことは出来ないため、こればかりはどうしてもやむを得ないのです。
繰り上げの目安は、男女共に先頭のチームがタスキ渡しを行ってから20分です。
ちなみに、昨年の記録を見てみると、6区から7区へのタスキ渡しを行う際の先頭から最下位までの総合タイム差は10分少々となっており、繰り上げには十分余裕がありました。
それだけ各都道府県のレベルも上がり、実力が拮抗しているのかなとも思います。
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高校駅伝に外国人選手が出るのはずるい?
ここからはややセンシティブな話題となりますが、外国人留学生の出走についてです。
高校駅伝に限らず、箱根駅伝やバスケットボール、バレーボールなど、様々な学生スポーツで留学生選手を見かけることも珍しくなくなった昨今ですが、度々「留学生を出すのはずるい」といった意見を見かけます。
結論から申し上げると、私はずるいとは思いません。
なぜなら、若いうちから世界レベルを肌で感じ、世界を意識するいい機会だと思うからです。
留学生選手が規制となった背景
近年では、高校駅伝で留学生ランナーが走る光景は珍しくなく、毎年のように数校がケニアをはじめとした外国人留学生ランナーを起用しています。
ただし、留学生ランナーは、その強さ故か、起用出来る区間に制限があり、今は男女とも最長距離となる1区での起用はルールで禁止されています。
筆者が記憶している最初の全国高校駅伝での留学生ランナーは、1992年の第43回大会の男子の部で走った仙台育英高校のダニエル・ジェンガ選手、ジョン・マイタイ選手です。
この年は1区にマイタイ選手、3区にジェンガ選手が起用されました。
ちなみにこの年のレースで1区区間賞を獲得したのは、十日町高校の小林雅幸選手でした。
しかし、留学生ランナーを起用する高校が増えてきて、その圧倒的な強さ故に、2008年の第59回大会から男女とも現状の1区出走禁止となりました。
その間、1993年の第44回大会から2007年の第58回大会まで、男子の1区はすべて留学生ランナーが区間賞を獲得しています。
留学選手起用に対する私見
私としては、この「速い、強いが故に規制する」というやり方は、少々島国根性みたいなものを感じてしまうのです。
上記のダニエル・ジェンガ選手が、おそらくは様々なバッシングを受けたのでしょう。
仙台育英高校時代に、クロスカントリーの大会後のインタビューで泣いていたのを覚えています。
当の日本人選手がどう思っているのかはそれぞれかもしれませんが、少なくとも仙台育英のジュリアス・ギタヒ選手(後に世界陸上10000mケニア代表)に、都大路で果敢にくらいついた浜松商業の古田哲弘選手の走りを私は忘れません。
古田選手は「外国人だからと言って特別だとは思わない」とインタビューで答えていました。
「井の中の蛙」という言葉がありますが、外国人選手との戦いを避けて、日本国内で日本人だけでレースをさせて、それで世界に挑む、世界に伍して戦うなどとは、到底なしえない話ではないかと思うのです。
確かに、いきなり速い留学生が日本に来て、「彼ら彼女らに勝て!」となっても難しい話であることはわかります。
しかし、今は勝てなくても、高校生という成長段階で世界レベルを経験、意識することは大学生、実業団あるいはプロ選手になってから必ず活きてくると思います。
また、留学生を抱えるチームからは、「外国人選手から生活態度や姿勢等、学ぶことは多い」というコメントが散見されます。
決して外国人選手頼みのチーム作りではなく、外国人選手がいることで、日本人選手も意識の面でプラスになり、相乗効果が期待できる。
そういうメリットがあると聞きますし、私もそう思います。
「高校生で競争が過剰になるのはよくない」という声もありますが、私としては短絡的に競争を避けるのではなく、もう少し先を見据えた議論が出来ると良いのではないかと思っています。
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全国高校駅伝ルールまとめ
留学生ランナーについては、オリンピックや世界選手権といった世界を舞台に戦う選手の育成も考えるなら、もう少し見方は変わってもいいのではないかなと思っています。
長距離種目の世界とのレベルの差はまだ大きいかもしれません。
ですが、日本の高校生、大学生のトラックやハーフマラソンといった距離の記録は年々レベルアップしています。
今がチャンスと捉えている選手や、指導者の方々がいらっしゃれば面白いと思います。
本戦では、皆さんの母校や、それぞれの地元である高校の応援も楽しみながら、選手の育成ということも考えた視点で見てみると、また一層関心が増すのではないかと思います。